2018年5月25日発売され、2019年7月のPS Plusフリープレイでも配信されたオープンシナリオ・アドベンチャーゲーム『Detroit: Become Human』。(読み:『デトロイト: ビカム ヒューマン』。以下、『Detroit』)
遅ればせながらフリープレイから始め、体験版部分以外は完全初見プレイで1周目のエンディングまで終わりましたので、ネタバレなしの感想とレビューを書いていこうと思います。
※この記事はネタバレを含みません。未プレイの方も安心してご覧ください。
圧倒的なまでの感情と空気感が伝わってくる驚異のグラフィック
とにかくまず目を引くのが、その作り込まれたグラフィックです。
特に素晴らしいのが、人間やアンドロイドの「顔・表情」! まばたきはもちろんのこと、口角や視線(眼球)の動き、シワや毛穴に至るまで、本当にリアルに作り込まれています。
現実で人とコミュニケーションする時に、無意識レベルで感じ取っている小さな変化や違いまでも感じ取れるほど、細部までリアルに描写されており、思わず「おぉ……」と感嘆の声を漏らしてしまうほど。
※本記事内にあるキャプチャ画像は、Web用に少し画質を下げています。ご了承くださいm(_ _)m
もちろん人物だけでなく、デトロイトの街並みや空、遠くに見える景色、生活感あふれる部屋や細々としたオブジェクトなども、とてもリアルに作られています。
発売から1年が経っていますが、グラフィックの完成度やリアルさでは、現世代ゲームの中でも、まだ頭一つ抜きん出ているように感じます。ホント、スゴイ。
イベント時の演出やカメラワークも良く、日本語吹き替えにも全く違和感がありません。横で見ていると、普通に映画を観ているのと変わらない感覚です。
秀逸なストーリーと世界設定
本作では、「アンドロイドは”生命”か?”モノ”か?」という問いを、3体のアンドロイドの視点を通してプレイヤーに投げかけてきます。
便利な道具、従順なお手伝いさん、時に友人や家族として見なされながらも、人間から繰り返される暴力に逆らえず、飽きたら捨てられる。まるで奴隷のように扱われるアンドロイドたちの中に芽生える”不公平”という”感情”。その感情に突き動かされ、人間の命令を聞かなくなったアンドロイド”変異体”たちに、人間はどう向き合うのか。アンドロイドはどうなっていくのか。
夢物語や綺麗事だけでは済まされない、もしかしたら本当にありえるかもしれない社会問題として描かれるストーリーは本当に秀逸です。
さらに面白いのが、主人公である3体のアンドロイドが途中で全員死亡しても、ストーリーは最後まで進んでいくこと。その場合の展開やエンディングにも不自然さや齟齬がないように作られているとのことで、バリエーションは思った以上に豊富です。
また、驚異的なグラフィックの美しさと精細さは、そんなストーリーに強い説得力を生み出しています。
正直、「今のゲームって、これ以上リアルで美しいグラフィックを追求しても意味あるのかな?」とうっすら思っていましたが、見た目が人間とほぼ変わらないアンドロイドを扱うストーリーだからこそ、ここまでリアルなグラフィックが必要なんだと気づいた時、ちょっと感動してしまいました。
ハード・ソフトの両方ともに、それを実現してしまう技術力の高さ、そして、プレイした人の心を揺さぶらせるストーリーには本当に脱帽です。
他の人と語り合える面白さ
物語の大筋はほぼ1本道です。しかし、その過程にある数多くの選択肢や分岐する展開、エンディングなどが異なるため、同じお話を進めているはずなのに、プレイする人によって結末や展開に”違い”が生まれます。
その結果、クリア後に
A「どんなエンディングになった?」
B「〇〇が××して□□になった」
A「え!?私は○○が△△になった」
B「え!!なにそれ!? じゃあ、あそこはどんな展開になったの?」
……などなど、他の人のプレイ体験やエンディングまでの道のりを聞いたり、話したりするのがとても面白い!
ジレンマを生む選択肢が多く用意されているため、その人がどういう考えでどの選択肢を選んだのか、登場人物たちをどのように捉え、どう感じていたのか、などを語り合うことで、お互いの考え方や捉え方の違い、時には人間性なども垣間見ることができるのも『Detroit』が持つ面白さの一つですね。
ただし、ネタバレすると本来の面白さや楽しさが激減してしまうので、未プレイの人がいる前ではネタバレに注意しましょう!
友人・知人に未プレイの人がいて話せない……、そんな時は(ちょっと強引ですが)「面白いから、一回やってみて!」とおすすめするのもアリかなと思います。
ほどよい頻度のQTEが没入感を上げている
QTE(Quick time event)とは、「表示された操作コマンドの入力可否でその後の展開を変化させる手法のこと」です。簡単に言うと、”イベントシーン中に表示される○ボタンやR1ボタン、方向キー(左スティック)などを入力させる操作指示のこと”ですね。
『Detroit』ではこのQTEがよく出てくるのですが、その表示頻度がちょうど良く、要求される操作難易度も低くめです。
さらに、それぞれの操作指示は、全てその場面に合わせた”意味のある動作(に似せた操作)”となっているため、より没入感を感じられます。
たまにQTEの表示頻度が多すぎてイベントの内容に集中できなかったり、メンドクサイと感じるゲームもありますが、『Detroit』ではそんなことは一切ありませんでした。
多すぎず、少なすぎず、難しすぎず。ちょうど良いバランスのQTEによって、プレイ体験を向上させているのが素晴らしいですね。
周回プレイが少々面倒に感じる
完成度がすごく高い『Detroit』ですが、ちょっと残念な部分もあります。それが、1度見たことがあるイベントシーンの”スキップ”や”早送り”などができないこと。
体験版プレイ後にも懸念していたことではありましたが、やはり2周目以降はテンポが悪く感じ、周回プレイをすること自体が少々面倒に感じました。
一応、フローチャート上にある特定のポイントからやり直すことは可能ですが、もう一歩、周回プレイ時の快適さを上げても良かったように思います。
(ストーリーは飛ばさずに見てほしい、という製作者側の思惑も分からなくはないのですけどね……)
さいごに
『Detroit』は、1周目が一番楽しめます。なので、未プレイの方はできるだけネタバレ情報を避け、自分の手でこのゲームを体験することを強くおすすめします。
私も発売された当初は実況動画やプレイ動画などを見たい誘惑に駆られましたが、実際に自分でプレイするまで見なくて良かった、と心底思いました。
(『Detroit』のように、特にストーリー重視のアドベンチャーゲームなどは、「初見プレイ時の新鮮さや感動を大事にしたい」というのが私の考えです)
また、フローチャート画面では、世界中の他の人はどの選択肢を選んだのかをパーセント表示で比較することができ、自分の選択は多数派なのか、少数派なのかを見れるのも面白い機能ですね。
ちなみに、私が1周目で歩んだ物語は割と少数派のようでした。
詳細は以下の記事に書いていますので、プレイ済み且つ、ご興味のある方はこちらもどうぞ↓
総評としては、シナリオ、グラフィック、魅せ方など、噂に違わない前評判通りの名作アドベンチャーゲームでした!面白かったです!
それでは、今回はこのへんで。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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