2019年1月のPS Plusフリープレイにもなった『Iconoclasts』。(読み:アイコノクラスツ)
本作は、インディーゲーム開発者であるJoakim Sandberg(ヨアキム・サンドバーグ)氏が7年の歳月をかけて完成させた2D横スクロールのマップ探索型アクションアドベンチャーゲームです。
(業界用語的な言い方では、「メトロイドヴァニア」系のゲームです)
難易度スタンダードでクリアしましたので、感想などを書いていきたいと思います。
結論だけ先に言うと、「想像以上に面白かった!」
※プレイ時のバージョンは、「v1.15」です。
※重大なネタバレは含みません。
見て”かわいい”、動かして”気持ちいい”プレイ感
作り込まれた2Dドット絵と魅せるテキスト表現
プレイを開始してまず目を引くのが、小気味よくなめらかに躍動する2Dキャラクターたち。
主人公のロビンを始め、主要キャラクター陣がよく動き、イベントシーンではセリフに合わせて”表情”や”仕草”も細かく変わるという作り込みが素晴らしい。
さらに、ボイスが一切入っていない本作ですが、セリフ内のテキストを波打たせたり、ブルブル振動させたり、大きさや表示スピードを変えたりなど、工夫を凝らしたテキスト表現がされています。
仕草だけでなく、上記のようにセリフテキストの表示の仕方を工夫することで、見事にキャラの感情を演出しており、ストーリー面にもしっかりと力を入れて制作されたことが伝わってきました。
軽快なBGM&SE
ロビンを動かして”気持ちいい”と感じる一番の要因が、「SE」(サウンドエフェクト。効果音のこと)です。
もちろん、移動やジャンプ、各種攻撃などのアクションや、ロード時間なども含め、ゲーム全体のテンポ・操作性は抜群に良いです。
その上で、ジャンプした時の音や攻撃時の音、ダメージを受けた時の音やイベントシーンでキャラがリアクションした時の音、などがとても軽快で心地よく、「ただ動かしているだけなのに、なんか気持ちいい!」と感じさせてくれます。
独特な世界観ともマッチしたBGMも、一度プレイするとしばらくは頭から離れない楽曲が多く、前述のSEと合わせ、サウンド面がプレイ体験をさらに一段引き上げてくれていると感じました。
アクションゲーム初心者にも嬉しいオートエイム機能とリラックスモード
本作の攻撃アクションは、基本的に”銃”による攻撃となります。似たようなものですと、『ロックマン』シリーズを想像していただくと分かりやすいかもしれません。
さらに、初期装備の”スタンガン”には「オートエイム機能」が備わっています。
(※ゲームを進めると入手できる”スタンガン”以外の銃には、オートエイム機能はありません)
敵がいる方向に向かってアバウトに方向キーを入力するだけで、発射した弾が自動で敵のところへ飛んでいってくれます。これがとても楽。
その分、射程距離と威力は他の武器に比べて低めになっていますが、マップ探索時のザコ敵くらいは楽に対処でき、「道中のザコ敵に苦戦して、なかなか先に進めない…」ということはほぼありませんでした。
また、敵の攻撃をうまくかわしきれずによくゲームオーバーになってしまう…、という方には、全てのダメージを一切受けなくなる「リラックスモード」というものも用意されています。
アクションゲーム初心者や戦闘が苦手な方でも、最後までプレイできるように配慮されている点が嬉しいですね。
徐々に広がっていく探索範囲と程よい難易度のパズル要素
本作は、説明書を読まなくてもプレイしていれば自然と操作が覚えられるよう、マップやガイドが丁寧に作り込まれています。
よくあるテキストでの操作説明ではなく、イラストと該当ボタンのみで分かりやすく簡潔に描かれており、1つ1つ順を追ってそのアクションでできることが学べるようになっています。
アクション数はそれほど多くないため、任天堂のマリオ作品をプレイしたことがある方ならすぐに理解できるでしょう。
ストーリーを進めていくと徐々に新しい武器や機能なども増えていき、一度行ったことのあるマップでも、これまでに覚えたアクションを組み合わせて新しいエリアに行けたり、見えているのに取れなかった宝箱が開けられるようになったりなど、探索範囲が少しずつ広がっていくのが冒険心をくすぐります。
マップのあちこちには工夫を凝らしたパズルギミックも存在し、その仕掛けを試行錯誤しながら解いていく過程も非常に楽しいです。
パズル要素自体は、難しすぎず簡単すぎずでちょうど良い難易度でした。
※一部にはシビアな操作が要求される高難度のパズルギミックもありますが、それらはストーリーの進行とは関係ないものがほとんどです。
手に汗握る多種多様なボス戦
中ボス・大ボスを合わせて、20種類以上の個性豊かなボスキャラクターが登場する本作。
素材や動きなどが使い回されているボスは1つとして存在せず、倒し方もアクション性の高いものやパズル要素が強いものなど様々。主人公のロビン以外の仲間を操作するパートもあったりなど、意外と頭を使うところもありますが、ギミック自体はそれほど複雑ではなく、少し落ち着いて考えればおのずと倒し方が分かる絶妙な設計となっています。
もちろん、アクションゲームなのでそれなりの操作技術は問われますが、一度コツを掴んでしまえばトライ&エラーでなんとかなります。
(その前に心が折れなければ、ですが…)
もしやられてしまってもボス戦の直前からすぐにリトライできますし、どうしても難しければ難易度を下げて挑戦することもできます。
ダメージを全く受けない「リラックスモード」なら、ゲームオーバーの心配がなく、ボス戦もゆっくりと落ち着いて攻略できますので、アクションゲームのボス戦が苦手という方も安心です。
ちょっとクセのあるストーリーは好みが分かれるかも
本作は独自の世界観や用語を用いてストーリーが展開されていくため、世界観やストーリーをしっかりと理解できるかが少し微妙なところです。
海外製インディーゲームということもあり、セリフに少し独特な言い回しが多く、どういう意味なのかが分かりにくい箇所がいくつかありました。そのため、セリフは流し読みせず、しっかりと読み進めることをおすすめします。
内容に関しても少々哲学的なことが含まれていたりするので、そのあたりに苦手意識のある方は、途中から話について行けなくなってきたと感じる可能性もあります。
ラスボスを倒したあとのエンディングも、あまりスッキリとした終わり方ではないため、人によっては消化不良に感じるかもしれません。このあたりで好みが分かれるかと思います。
しかし、エンディングを迎えるまでに出会う仲間や敵キャラたちの葛藤や挫折、そして成長の物語は丁寧に描かれており、どのキャラもすごく良い味を出しています。敵キャラも含め、ほぼすべてのキャラが魅力的です。
反対に、主人公のロビンは全く喋らず、イベントシーンでは動作や表情、細かな仕草などでたまに気持ちを表すのみのため、少し淡白に感じることも…。
そのせいで、ロビンが自発的に行動しているのではなく、周りにただ流されているのではないかと感じてしまう部分もあり、その点が少し惜しいなと思いました。
少々クセの強い個性的な登場人物たちが織りなす”ヒューマンドラマ”と”哲学的なメッセージ性”が、本作のストーリーの面白さだと私は感じました。
総評
ストーリーに好みはあれど、アクション・パズル・グラフィック・サウンドのどれもが高いレベルでまとまっている上質な2Dアクションアドベンチャーゲーム。
アクションゲーム初心者でも楽しめるように配慮された丁寧な設計でプレイしやすく、キャラを動かしているだけで”気持ちいい”と感じるプレイ体験は一見の価値あり。
個人制作だからこその”統一感”と、”細部までこだわり抜かれた丁寧な作り込み”が素晴らしい作品です!
そして、ロビンのドット絵がかわいい!!
さいごに
フリープレイとして同時に配信された『ディビジョン』がサーバーエラーでプレイできなくなったことをきっかけに始めた『Iconoclasts』でしたが、想像を上回る完成度の高さとプレイ感に「これは久々に来たぞ…、個人的ヒット作っ!!」となりました。
エンディングまでのプレイ時間も約10~15時間と短めなため、他の大作ゲームの合間にプレイするには丁度良いかなと思います。ちなみに、難易度スタンダードでプレイした私のクリア時間は、約13時間半でした。
それと、ストーリーの中盤には、人体欠損などの過激な表現が少しだけ含まれています。2Dのドット絵とはいえ、中にはそういった表現自体に抵抗感がある方もいるかと思いますので、念のためご注意ください。
『Iconoclasts』は、記事執筆時点でPS4、PS Vita、Nintendo Switch、Steam(PC,Mac,Linux)にて配信されています。
気になった方は、この機会にプレイされてみてはいかがでしょうか?
2019年2月5日までならPS4/PS Vita版がフリープレイにて配信されていますので、PS Plus加入者の方は、とりあえずダウンロードだけでもしておくのがおすすめです。
それでは、今回はこのへんで。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
公式サイトはこちら↓
※『Iconoclasts』の概要については、開発者のコメントも載っている以下のファミ通.comさんの記事も参考になります。
世界中で高評価を得た『Iconoclasts(アイコノクラスツ)』のNintendo Switch版が8月2日に発売決定! - ファミ通.com
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